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ガランビトウロウソウの実生記録 [cultivation]

 マニアを目指すと言いつつ、長らくカランコエを繁殖させたことがなかった。勿論、挿し穂や不定芽により増やしてはいた。しかし全て同一クローンを増殖していたに過ぎず、有性生殖株を増やしたことがなかったのだ。正確に言うと、ロトゥンデフォリアやシンセパラがこぼれ種で増えたことはあった。ただこれらは殖えたのであって、殖やしたわけではない。
 そこで某氏からの御教示により種が豊富に結実するガランビトウロウソウKalanchoe spathulata var. garambiensisで実生してみた。以下の写真はその簡単な記録である。

2017.6.23 種蒔き
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2017.8.9 発芽:非常に微細な双葉で、1枚の長さは1mm以下
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2017.10.14 大きな株は双葉の1辺が10mm
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2017.12.23  本葉も育ち始めているが室内に入れたため、丸まりつつある
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2018.8.4 すっかり成熟した株
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 小学生低学年の観察日記より手抜きで恥ずかしいが、いろいろと余裕がなく途中から殆ど放置していたこともあってこんな状況である。まともに育てるともっと早くに成熟する筈で、情けない結果である。これを機に他種でも実生を試してみたいが、余り個体数は増やせる環境ではないので自粛せざるを得ない。

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おもいでの夏 [cultivation]


 このようなタイトルにしたが、この夏に思い出となる特別な出来事があったわけではない。淡々と一日一日を過ごしてきただけだ。
 西日本は連日の猛暑で人々だけでなく他の動物も、植物も難儀だったと思う。こちら関東地方は6月から真夏日があり、7月には猛暑日まで度々あって長い夏の予感に気が滅入っていた。しかし8月に入ると大して暑くもなく、大半のカランコエはベランダであまりダメージもなく生き延びてくれた。
 例年のような犠牲者はなく、一番ダメージを受けたのはペルタータKalanchoe peltataだった。6月までは過去に例を見ないほど順調に葉が茂り大変素晴らしい状態であったが、ひと夏ベランダで過ごしたら葉はほとんど全て落ち、涼しくなってからも葉が育たず悲惨な状態だ。それでも完全に枯れることなく、夏越ししたと言えばしたとも言える。これは仕方なしに先日思い切って切り詰めた。

このように順調だったペルタータKalanchoe peltataが
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Kitchengia節は暑さに弱いのか、葉が落ちていって
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終にはこんな姿に

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 いつも夏に大ダメージを負って株を失ってしまうKitchengia節のもう1種、グラキリペスKalanchoe gracilipesはこの夏を無事に越すことができた。毎日天気予報を気にしていて翌日が真夏日と分かったら、やはり夏に弱い他の下垂型花卉達と共に前の晩に室内に取り込んだのだ。そのうち様子を見ながら33゜~34℃位までなら最も暑さに弱いグラキリペスとフィフィKalanchoe uniflora "Phi Phi"だけ取り込んで、35℃以上になるときはエンゼルランプ、シャンデリア、ウェンディも避難させた。グラキリペス×マンギニー(紅提灯)のハイブリッドであるテッサは暑さに強く、これまでも屋外で夏を乗り切っている。花はグラキリペス寄りだが、生理的にはマンギニーの形質が強いのかもしれない。
 毎日気温を気にしての出し入れは面倒ではあったが、確実な効果があった。幸運なことに暑い日が2、3日続いたら小休止のように涼しい日が訪れたので、1週間室内に入れっぱなしということはなく光量不足も解消できた。

 では何故ペルタータは屋外に取り残したのか。
室内に持ち込めないほど暴れて大きくなっていたためである。Kitchengia節そのものが暑さに弱いのか、グラキリペスについでペルタータも暑さには弱そうなので、来年は気をつけようと思う。
 ともあれこの夏はグラキリペスの夏越しに成功したという点では思い出の夏となった。

 
夏場はいったん成長を止めたが、秋には再び成長を始めたグラキリペスKalanchoe gracilipes
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猛暑降葉山 [cultivation]

 昨年、一昨年と夏に決定的なダメージを受けたグラキリペスを筆頭とする着生種の花卉数種を、まだ連日の真夏日が襲い掛かる前の8月初めに室内に取り込み、ラニーニャが原因とされる今年の猛暑に備えた。室内というのは私の部屋のことで、東北向きなため朝に少し陽が差す程度で植物を置くには向いていない。(故に冬のダメージ=光不足は深刻だ。)
 今年のグラキリペスは夏になる前から例年にも増して状態が悪かったが、室内に取り込んだ後も暑さに当たったが如く葉が落ち続け、9月初めには逝ってしまった。ウェンディやシャンデリア、ウニフローラも枯死こそ免れたものの葉は落ちまくって山を築いてしまった。

着生カランコエの落ち葉:山という程ではないが皿に山盛りである
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 今年の室内取り込みといった対応は、昨年よりもシャンデリアの葉落ちが少なくなった程度の効果しかもたらさなかった、昨年のコメントで夜の気温も高いのが良くないのではないかというアドバイスを頂き、早めに避難させたわけだが6月から散発的に30℃を超える日があり、取り込み前に何度か暑さに曝されてはいたのだ。また室内も動物の関係で冷房はかけるのだが、カランコエ置き場は26~29℃はあり、夜などベランダの方が涼しい始末だ。
 (現時点では対応策を思いつかないが)来年はもう一工夫してサバイバルを成功させたい。更に冬の花芽を落とさない技術もものにしなければ。

 一般的なカラン工は今年の猛暑をかろうじて乗り切ってくれたが、幸いなことに猛暑日が2日ほど続くと1日気温が下がる日が挟まったりしていたので、それが犠牲者を出さなかった理由なのかもしれない。
 それにしてもグラキリペスは今年購入した株のみならず、昨年の夏を乗り切って今年わずかながら開花した挿し穂由来の株も枯れてしまった。もしかして開花株は枯れる種なのかと訝しく思うほど、手の施しようのない脆さだ。生産者の方々はどうやって栽培しているのか、不思議でならない。

 更に今年の大きなダメージは、室内に取り込んでいた1月半ほどの間にウニフローラとシャンデリアにカイガラムシが蔓延してしまった。昨年からの戦いはまだ続いていたのだ。硬い殻を持つタイプのカイガラムシscale insectsは着生種、ブロスフェルディアナ系の花卉、セイロンベンケイやガストニス・ボナリ(ボニエリ)の仲間(Prolifraeグループのブリオフィルム)、リュウキュウベンケイソウとその近縁種によく付いた。その他の種にも付くが、これらの仲間ほど爆発的に増加することはなかった。
 意を決してこの9月は全てのカランコエを確認して、伐採と薬剤散布を大々的に行った。
 果たしてこの終わりなき戦いに終止符が打てるのだろうか。

蔓延とはこのこと、こうなると伐採してしまうのが安全だ
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続・うろこの葉 [cultivation]

 前回はカイガラムシ退治に使ったマシン油でカランコエ自体を退治してしまったことを報告したが、そうこうしているうちに被害状況が大体見えてきた。特にひどく感染(この言葉は正確ではないが、雰囲気的に使用)していた花もの、シンセパラ、ガストニス・ボニエリ、リュウキュウベンケイソウは思い切って主要な葉をバッサリと切り詰めたが、残った葉や茎には依然多くの虫が残っていた。そこである人から助言を得て、エタノールを散布することにした。たまたま動物の方の趣味の関係で消化管の固定標本作製用に購入したエタノールが余っていたのだ。
 これはかなり効果的で、まともにカイガラムシの体にかかればほぼ死滅する。但し、カランコエの頂芽にはかからないよう注意が必要だ。実際には100円ショップで売っていた耐アルコール仕様のスプレー・ボトルに入れて散布した。これが他の植物(ペチュニアなど)にかかると葉が萎れてダメになるので、その点も注意が必要だ。以前紹介したそうか病(菌類による感染症)や、ハーブのハダニ退治にアルコール除菌剤を散布したときは、散布の2分後に霧吹きで水をかけてアルコールを洗い流し、植物体へのダメージを軽減した。
 幸いなことにカランコエはアルコール除菌剤を洗い流さなくともダメージが軽い。エタノールなら蒸発が速いのでなおさらダメージが軽減する。カイガラムシがハダニのように2分程度では死滅しない可能性もあるので、条件的には都合の良い退治方法である。

 一般の薬剤でアブラムシ(アリマキ)を退治した後も同様の状況が起きるが、カイガラムシも死んだからといって植物から剥がれ落ちる訳ではない。しかもカイガラムシは他の昆虫に比べて、生きているのか死んでいるのか判別しにくいので、散布した翌週に退治できていないと思ってまた散布したりして、ひとつの植物で駆除終了までは随分と手間取って時間がかかる。また、卵や幼虫はとても小さく見逃しやすいので殲滅は困難を極める。大体は駆除できたと思うが、完全に駆除するに至るのは更に長い時間がかかりそうである。

 長々とつまらない記事を書いたが、カイガラムシはカランコエ最大の脅威だと思うので記録しておいた。

特効薬のエタノール
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カイガラムシに垂らして効果を簡易顕微鏡で確認する
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セイロンベンケイソウでも効果が確認できた
虫の周りにエタノールを垂らした跡が見える
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生きた植物にはこんな容器で散布した
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タグ:エタノール

うろこの葉 [cultivation]

 少し不気味なタイトルをつけてしまったが、昨秋に大苦戦したカイガラムシ退治の顛末に付いて記してみたい。カランコエの害虫(昆虫類)としてはアブラムシ(アリマキ)やアザミウマ(スリップス)、ヨトウガの幼虫(ヨトウムシ)等が代表的と思うが、個人的に一番厄介だったのがカイガラムシ類である。
 カイガラムシは大世帯過ぎて科レベルの同定すら出来ないのだが、家で発生したものはコナカイガラムシのような種とカタカイガラムシのような種である。前者は英語でmealy bugと呼び、後者はscale insectと呼ぶ。今回手を焼いたのは後者なので、タイトルに使わせて貰った。

 10年以上前に花ものカランコエにコナカイガラムシが多数発生したことがあり、そのときは排泄物にカビが発生し、多くのカランコエがすす病に侵された。全てのカイガラムシを駆除するのに数年かかった記憶がある。
 そして今回はカタカイガラムシのようなタイプのカイガラムシが大発生してしまった。ベランダで超過密な状態で栽培しているので、発生してもなかなか気付かずに容易に蔓延してしまい、見つけた時は悲惨な状況だった。夏の暑さの猛威による被害状況を確認していた8月下旬に気づいて、大規模な駆除は12月迄続いた。今でも完全に駆除できたとは言い難い状況だ。
 最初は花ものカランコエの葉や茎に付いているのが見つかり、ひどいものでは白い鱗がびっしりと生えたような感じになっていた(写真は敢えて割愛)。注意深く見ると葉の表面に点在していた微細な白い点もカイガラムシの幼虫であることが分かり、いたたまれなくなった。野外用の小型顕微鏡で見ると固着生活に入っている大きな個体(といっても径2㎜程度)は、すでに死んでいるようで体内で幼虫が孵化しているものも見られた。幼虫はダニのような形で小さく、雌親の殻の中で蠢いている。

葉に付いたカイガラムシ(まるでシストを形成しているような不気味さがある)
なるべく無難な写真を選んで、「閲覧注意!」にはしないようにしました。
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幼虫の時期は粉がついたようだ
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 早速カイガラムシ退治の定番であるマシン油を買ってきて散布した。植物体の近くから噴霧するとガスで冷却され、葉が傷んでしまうので遠くから(40㎝以上離れ)スプレーした。しかしそれでもこの処置がかなり深刻な二次被害を生んでしまった。
 以前コナカイガラムシ退治に住友化学園芸の商品名「ボルン」を使った時は、この方法で大丈夫だった。今回は(それしか売っていなかったので)コスパの良さそうなフマキラーの「カダンK」(アレスリン+マシン油)を使ったのだが、その結果が御覧の通り。
 
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 貴重なアフリカンローズやアルボレスケンス苗、その他花ものが枯死してしまった。
 カイガラ退治の効果はあったかもしれないが、被害の方が大きく「カダンK」はカランコエへの使用は向いていないと言える。

長くなってきたので、続きは次回に。