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聖地巡礼;麗しき島に根付くもの [others]

 昨年より始めた聖地巡礼、自生地も外すわけにはいかない。この度機会があって、台湾にK. spathulata種群の自生地を訪れたので報告したい。と言ったが、台湾の野生植物も我が国同様に開発や心無い人々による興味本位の採取等々で絶滅の危機にあるため、地名は明かさず台湾南部とだけ記しておきたい。また今となっては残念に思うが、結局採集はせずにwatchingのみで帰国してしまった。

 自分の好きなカランコエの1群に、アジア-アフリカに分布する欠刻葉のグループがある。特にK. spathulata種群とそれに近縁であろうK. laciniataには興味がある。さて、いつぞやの記事で書いた様に台湾“本土”にはK. spathulata種群の野生カランコエが3種自生していて、先ずは台湾南部沿岸地方に見られるガランビトウロウソウK. garambiensis (K. spathulata var. garambiensis)を求めて、最南端の地まで赴き何ヶ所かを巡った。そのうち3ヶ所で本種が見られ、場所によって異なる特徴が観察できた。

自生地①
 ここは開けた場所で、ガランビトウロウソウは石灰岩にへばりつくように点在していた。特徴的な紫暗色の葉のものと、明るい緑色のものが見られた。以前この2型は単に季節的な変化かと思っていたが、現地の人に聞いてみるとどうもそうではない。エバーグリーン・フォームと通常型(ダーク・フォーム)があるようだ。

生息地①で見られた通常型とエバーグリーン・フォーム
自生地の写真は台湾の人には場所が特定されるため、アップの写真のみです。①IMG_7731.JPG①IMG_7707.JPG


自生地②
 ここは海沿いの崖上の草むらの中にある場所で、この個体群(植物でもこの言い方でよいのか自信がないが。。。)はなんと欠刻葉である。当然欲しくなったのではあるが、余りにも自生地が狭く、また心もとない状況だったので泣く泣く採集は諦めた。この欠刻葉を見るとリュウキュウベンケイソウK. spathulataというよりヒメトウロウソウK. ceratophyllaに近く、これをリュウキュウベンケイソウの変種とする説に手放しで納得してしまってよいか疑問に思った。

この岩場を中心に欠刻葉のガランビトウロウソウK. garambiensisが見られた②IMG_7780.JPG②IMG_7796.JPG②IMG_7801.JPG

自生地③
 ここも①と似たような場所だったが、こちらの個体の中には暗色が強く、時には「黒い」と表現しても良いものもあった。一つ一つの群落の規模は小さく、保護の必要性を切に感じる。

黒いガランビトウロウソウ、この場所でのみ見られた③IMG_7820.JPG③IMG_7849.JPG

 以上3ヶ所のガランビトウロウソウを見て、非常に小さな種であると思えた。ロンボピロサと並んで最小種のひとつかもしれない。K. pareikianaや最近マダガスカル東北部で見つかった小型カランコエよりは大きそうだ。
 しかしこの種を鉢植えで育てていると、そこそこ大きくなる。もしかすると本種が小型なのは、岩礁の窪み・割れ目に堆積した僅かな土壌に根付いているためではないかと思われた。十分な養分がなく、あのようなサイズに留まっているとしたら、それも哀れな気がする。動物の例で言うと、狭い緑地に生き残っているヒガシニホントカゲPlestiodon finitimusの個体群では各個体が小型なまま成熟していることがあるが、それとイメージが被ってしまう。

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コメント 2

ヨーコマン

channaさんおはようございます。
ガランビトウロウソウの聖地巡礼。すばらしいですね。羨ましい。
現地ではこんなにも個体差が見られて同じ植物には見えません。
この1フォームだけが出回ることで特徴の思い込みが生まれてしまう
個体差を知る上で非常に貴重な情報だとおもいます。
by ヨーコマン (2019-10-26 08:13) 

channa

ヨーコマンさん、早速のコメ有難うございます。
御意見はよくよく認識しておきたいことですね。アジアのカランコエは分類学的な研究が未熟なため、まだまだ新しい発見がありそうです。
次回、リュウキュウベンケイソウなどを載せますが、こちらもネットで見かけるアジアの大陸ものや沖縄ものとだいぶ異なるのでぜひご覧ください。
by channa (2019-10-26 12:11) 

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