聖地巡礼;麗しき島に根付くもの [others]
昨年より始めた聖地巡礼、自生地も外すわけにはいかない。この度機会があって、台湾にK. spathulata種群の自生地を訪れたので報告したい。と言ったが、台湾の野生植物も我が国同様に開発や心無い人々による興味本位の採取等々で絶滅の危機にあるため、地名は明かさず台湾南部とだけ記しておきたい。また今となっては残念に思うが、結局採集はせずにwatchingのみで帰国してしまった。
自分の好きなカランコエの1群に、アジア-アフリカに分布する欠刻葉のグループがある。特にK. spathulata種群とそれに近縁であろうK. laciniataには興味がある。さて、いつぞやの記事で書いた様に台湾“本土”にはK. spathulata種群の野生カランコエが3種自生していて、先ずは台湾南部沿岸地方に見られるガランビトウロウソウK. garambiensis (K. spathulata var. garambiensis)を求めて、最南端の地まで赴き何ヶ所かを巡った。そのうち3ヶ所で本種が見られ、場所によって異なる特徴が観察できた。
自生地①
ここは開けた場所で、ガランビトウロウソウは石灰岩にへばりつくように点在していた。特徴的な紫暗色の葉のものと、明るい緑色のものが見られた。以前この2型は単に季節的な変化かと思っていたが、現地の人に聞いてみるとどうもそうではない。エバーグリーン・フォームと通常型(ダーク・フォーム)があるようだ。
ここは開けた場所で、ガランビトウロウソウは石灰岩にへばりつくように点在していた。特徴的な紫暗色の葉のものと、明るい緑色のものが見られた。以前この2型は単に季節的な変化かと思っていたが、現地の人に聞いてみるとどうもそうではない。エバーグリーン・フォームと通常型(ダーク・フォーム)があるようだ。
自生地②
ここは海沿いの崖上の草むらの中にある場所で、この個体群(植物でもこの言い方でよいのか自信がないが。。。)はなんと欠刻葉である。当然欲しくなったのではあるが、余りにも自生地が狭く、また心もとない状況だったので泣く泣く採集は諦めた。この欠刻葉を見るとリュウキュウベンケイソウK. spathulataというよりヒメトウロウソウK. ceratophyllaに近く、これをリュウキュウベンケイソウの変種とする説に手放しで納得してしまってよいか疑問に思った。
この岩場を中心に欠刻葉のガランビトウロウソウK. garambiensisが見られた
自生地③
ここも①と似たような場所だったが、こちらの個体の中には暗色が強く、時には「黒い」と表現しても良いものもあった。一つ一つの群落の規模は小さく、保護の必要性を切に感じる。
自生地③
ここも①と似たような場所だったが、こちらの個体の中には暗色が強く、時には「黒い」と表現しても良いものもあった。一つ一つの群落の規模は小さく、保護の必要性を切に感じる。
黒いガランビトウロウソウ、この場所でのみ見られた
以上3ヶ所のガランビトウロウソウを見て、非常に小さな種であると思えた。ロンボピロサと並んで最小種のひとつかもしれない。K. pareikianaや最近マダガスカル東北部で見つかった小型カランコエよりは大きそうだ。
しかしこの種を鉢植えで育てていると、そこそこ大きくなる。もしかすると本種が小型なのは、岩礁の窪み・割れ目に堆積した僅かな土壌に根付いているためではないかと思われた。十分な養分がなく、あのようなサイズに留まっているとしたら、それも哀れな気がする。動物の例で言うと、狭い緑地に生き残っているヒガシニホントカゲPlestiodon finitimusの個体群では各個体が小型なまま成熟していることがあるが、それとイメージが被ってしまう。
以上3ヶ所のガランビトウロウソウを見て、非常に小さな種であると思えた。ロンボピロサと並んで最小種のひとつかもしれない。K. pareikianaや最近マダガスカル東北部で見つかった小型カランコエよりは大きそうだ。
しかしこの種を鉢植えで育てていると、そこそこ大きくなる。もしかすると本種が小型なのは、岩礁の窪み・割れ目に堆積した僅かな土壌に根付いているためではないかと思われた。十分な養分がなく、あのようなサイズに留まっているとしたら、それも哀れな気がする。動物の例で言うと、狭い緑地に生き残っているヒガシニホントカゲPlestiodon finitimusの個体群では各個体が小型なまま成熟していることがあるが、それとイメージが被ってしまう。
タグ:ガランビトウロウソウ
アルボレスケンスの立て直し [cultivation]
最も好きなカランコエのひとつであるアルボレスケンスKalanchoe arborescens。カランコエのグループとしてはBryophyllum節の子宝草類が最も好きだが、次点でアルボレスケンスを含むLanigeraeグループだろうか。このアルボレスケンスはお玉杓子のような形のやや肉厚な葉に魅力を感じて、今までに何度か購入している。何年か育てて高さ50~60㎝になった頃、姿は乱れ(まくり)、葉は落ちまくって悲惨な姿となって駄目にしてしまうことが度々あるのだが、もっと小さいときからも危機は訪れる。
何度か経験したのは葉が薄っぺらくなってきて、やがて筋も目立つくらいに枯れた感じになり、気が付くと根元が朽ちていて根も枯れている状態になっているというものだ。
これは初夏の気温が上がる頃見られる症状で、急な温度上昇や水やりの失敗(やり過ぎ・断ち過ぎ)が原因かと思われる。本種はマダガスカル南部が原産で乾季・雨季半々の気候帯で育っている。1日の最低気温は乾季でも15℃位あり、昼は30℃になる。降雨量は20mm/月と少なく(東京の冬の半分くらい)、湿度も低い。これを日本では中途半端な気温の下で、中途半端な水やりをしがちであるから障害が起きても不思議はない。
これは初夏の気温が上がる頃見られる症状で、急な温度上昇や水やりの失敗(やり過ぎ・断ち過ぎ)が原因かと思われる。本種はマダガスカル南部が原産で乾季・雨季半々の気候帯で育っている。1日の最低気温は乾季でも15℃位あり、昼は30℃になる。降雨量は20mm/月と少なく(東京の冬の半分くらい)、湿度も低い。これを日本では中途半端な気温の下で、中途半端な水やりをしがちであるから障害が起きても不思議はない。
根元が腐って水を吸えなくなると葉が萎れるから、早めに気づいて処理をする。根は腐っている部分をバッサリ切り落とす。幹の下の方も腐ったり枯れていたら切り口が緑色になるところまで切り戻す。あとは切り口を十分乾かしてから挿し木すれば、草本性カランコエに比べて時間はかかるものの、やがて発根して健康を取り戻す。
今まで小さな株で2回同様な経験をして、同じように処理して立て直した。もっとも1回はその後水を切らせて枯らしてしまったのだが。。。
今まで小さな株で2回同様な経験をして、同じように処理して立て直した。もっとも1回はその後水を切らせて枯らしてしまったのだが。。。
アルボレスケンスは他の木本性カランコエよりも根腐れした経験が多かったので、書き留めておこうと思った。早期に手を打てば立て直しは難しくない。
タグ:アルボレスケンス