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子宝草目録4-④ Proliferae/羽状葉のブリオ達 [taxonomy]

 小さな葉が連なってひとつの大きな葉を構成するようなタイプの葉を羽状複葉といい、マメ科植物やサンショウに代表される。前回紹介したセイロンベンケイソウKalanchoe pinnataも学名からして羽状葉の種であるが、常に羽状複葉を形成するわけではない。しかし、カランコエのこのグループにはベンケイソウ科には稀な羽状複葉の種が他にも3種揃っている。

 よく見かけるのは高さ3mと大型になるプロリフェラKalanchoe proliferaである。マダガスカル中部原産だが大陸アフリカでも帰化して手こずっているようである。反面、我が国では大型の鉢に植えたものがインテリア系の店でも扱われている。最近この種をセイロンベンケイソウと間違って(「偽って」ではないだろう)表示した鉢植えをよく見かける。
 まだ小さな苗のときは複葉ではないが、少し育つとすぐに複葉になる。ある程度育つと葉に皺が入ってきて委縮したように見えるのが残念だ。葉を切り取って土の上に置くと葉縁だけでなく葉軸や花序からも不定芽を生じる。萼筒が緑で角ばり、赤い花と相まって美しい。
 セイタカベンケイのところで述べたように夏季は薄手で一般植物のような葉だが、冬季には固く多肉質の葉が生じる。一般的な花卉でもマーガレットは夏に多肉、冬に普通の葉となり、このような変化は興味深い。プロリフェラはまた、葉裏に甘露を分泌する。虫が集まりそうなので庭で栽培するときは覚悟したい。

複葉が発達するプロリフェラKalanchoe prolifera
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冬季は多肉植物に
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苗はまだ単葉である
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葉軸から出芽
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 プロリフェラによく似るが小型のKalanchoe rubellaはマダガスカル中東部に分布している。こちらはプロリフェラのように季節で葉の厚みは変わらず、委縮もしてこない。種小名のルベラは英語では風疹を意味するが、語源としては赤みがかったという意味である。成長すると葉軸に赤みがつき、葉には斑が入る。

プロリフェラより鋸歯の目立つKalanchoe rubella
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不定芽から育った苗
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少し成長して斑の入った葉
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 羽状複葉タイプにはもう1種、1997年に記載された小ぶりのKalanchoe curvulaがある。マダガスカル北部産と示唆されているが、タイプ標本はアンタナナリボ(タナナリボ)の植物園の産である。ICNのサイトによれば以前本の紹介記事に載せ、前の方の回でKalanchoe mortageiの写真を引用したHamet and Marnier-Lapostolle(1964)にKalanchoe rubellaとして載っている写真が実はこのKalanchoe curvulaであるという。

問題の写真:キャプチャーは間違いで実際はKalanchoe curvula
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