SSブログ

街角のカランコエ;スピリチュアルタウンの誘い [others]

 以前にもブリオフィルムをスナップした杉並区の某所に、今年も訪れている。先月も行ったが、1月には健在であった巨大クローンコエの姿がなかった。1月後半の寒波でやられてしまったのであろう。(参照:https://kalanchoideae.blog.so-net.ne.jp/2017-08-11)前回写真は載せなかったが、某ギャラリー入り口にあったクローンコエも枯れてなくなっていた。また服飾・雑貨店のマジックベル(セイロンベンケイソウ)も見られなかった。
 カランコエが寒さに弱いと知らずにオーナメントとして飾っている店では仕方ない結末なのかもしれないが、残念である。そんな中、この1月にも6月にも見られたのは耐寒性のあるプミラである。この種は我が家のベランダでも薄いビニール1枚で難なく冬越ししてくれた。粉ものカランコエは不得手であったが、最近は愛着が湧くようになった。
 一冬が過ぎて栄枯盛衰はあるものの、また新たな展開が見え隠れするこの街に今後も足を運び続けるだろう。

駅からほど近くのドライフラワー専門店(?)
店先には毛ものカランコエや籠の中の“Phiphi”が見られた
IMG_0970.JPG 
IMG_0972.JPG 
厳しい冬を乗り越えたプミラ
(上1月/下6月)
IMG_8349.JPG 
IMG_0974.JPG 
住宅街の植え込みにはパリの姿が
IMG_0984.JPG 
これは冬を越したものだろうか
IMG_0985.JPG 
1月のこのような姿はもはや見られなかった
IMG_8362.JPG

nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

子宝草目録4-⑤ Proliferae/グループ内のアウトサイダー [taxonomy]

 Proliferaeのうちガストニス・ボニエリとセイロンベンケイソウの仲間を紹介してきたが、このグループには他にも古くから知られる1種と2000年代に新種記載された2種の計3種が知られる。
 このうち1928年に記載されたKalanchoe macrochlamysは見られる機会の少なさにおいて、最も珍しいブリオフィルム節のひとつだろう。私も標本写真しか見たことがない。いつものBoiteau et Allorge-Boiteau(1995)には蕾(萼筒のみ発達)のカラー写真が載っているが、これは他種の間違いであろう。というのもこの種の萼筒は黄色がかった地に暗色の縦じまが走る特徴的なもので、次に紹介するKalanchoe maromokotrensisに酷似している。カランコエにしては珍しく塊根性(地下茎ではなさそうなので、とりあえずこう呼んでおく)であるが、この性質もKalanchoe maromokotrensis同様で、両者は近縁なものと思われる。
 Kalanchoe macrochlamysの葉はDescoings(2003)の記述によると「乾季の葉は厚く、一般的には全縁(葉縁が欠刻をもたないこと)で細く、30-40×2-4cm、葉縁は不規則な鈍鋸歯がある。雨季の葉は薄く、3裂から5裂し40×10cm、基部は耳型、抱茎する。裂片segmentは楕円形、15~20 × 5~10 cmで先端は鈍い。葉縁は全縁、もしくは鈍鋸歯-鋸歯が生じる。」とある。北半球の温帯で栽培していると仮定して、冬が乾季、春夏が雨季とすると、この変化の性質も殆どそのままKalanchoe maromokotrensisにも当てはまる。
 マダガスカル北西部のSambirano(カカオの産地で有名らしい)で見つかっている。高さ80~120cmとされる。

 これに対しKalanchoe maromokotrensisはマダガスカル北部のMaromokotra 村近くで見つかり、高さ40~80cmほど。夏の葉は鋸歯が発達して薄く、成長すると3~5裂の欠刻葉となる。不定芽は夏の葉からしか生じないと言われる。

Kalanchoe maromokotrensis:育つと上部の葉は欠刻葉になる
maromokotrensis.JPG 

若い葉には模様が入る
maromokotrensis  petit.JPG 

 Proliferae最後の種は以前の記事でも紹介したことがある黒死蝶Kalanchoe humificaである。原記載発行時には花も知られておらず、産地も不明であった(こんな原記載ってありなのだろうか?)。しかし国内で出回っているものはTsingy de Bemaraha産と知られている。これは90年代にドイツの研究者が彼の地で採集し、それをドイツ国内の植物園に頒布したものをフランスのDescoingsが入手して2005年に新種記載した。このドイツものの子孫が現在世界各国の愛好家に広まったとされている。
 私の知る限りドイツの植物園で2009年には開花しているが、報告は出版されなかった。そして2016年になってやっと花と花粉についての報告と再記載の論文が日本の研究者によって出された(Miyata et al., 2016)。それを見るとこの種がBoiteau et Allorge- Boiteau (1995)の分け方に従った場合はProliferaeに属するのは間違いないと思われる。
 葉は小さな個体では黒いが、少し育つと濃い緑色になる。大きな個体になると葉のサイズは15~45×8~14cmと巨大になる。原記載にもあるが、ある程度成長してくると葉がねじれてくることがある。花柄が伸びると高さ270cmにもなり、Bryophyllumの中では最も大型になる種であろう。花はセイロンベンケイソウに似る。小さい頃はガストニス・ボニエリやセイタカベンケイ、Kalanchoe bogneriに似るが、他のProliferaeグループとは全く異なるタイプの不定芽を生じるので、その他の仲間としておく。

 Proliferaeグループの仲間は以上である。これで全4グループを紹介したが、次回(の子宝草目録)はグループ不明のものを見てみたい。

黒死蝶Kalanchoe humificaの若い個体、葉は緑色になっている
humifica.JPG 
不定芽は独特の形である
humifica bulbil.JPG 
若い葉には模様が入る
humifica petit.JPG 

nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー