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カランコエの斑入り品種 [others]

 俗に枝変わりという現象がある。生長点が突然変異を起こす芽条変異のことで、動物で言えば昆虫で良く知られるモザイクのようなものだ。植物の世界では一般的な現象なのではあろうが、動物のモザイクと違って既にある程度成長している植物体に突然現れるところが驚異的に思える。
 ネット上では、斑入りや八重咲きが枝変わりの例として挙げられている。八重咲きといえば、今や花ものカランコエでは一般的なものである。最初に知られた八重咲きはカランディーバで、フィデス社の栽培株の中に現れた突然変異との事である。その形質を様々な品種に展開して多くの「商品」が生まれていることは言うまでもない。
 花ものカランコエがKalanchoe blossfeldiana Hybridだとして、他種でいうとやはり人為交配種であるウェンディ‘Wendy’(ミニアータKalanchoe miniata×ポルフィロカリクスKalanchoe porphyrocalyx)の八重咲であるサニーディ‘Sunny Balloon’が知られるが、その他は聞いたことがない。

光沢が美しい‘Sunny Balloon’
sunny ballon IMG_6614.JPG

 一方、葉の斑入りとなると花ものでもポエール、アルペングローなどは斑入りである。こういったものは放射線(コバルト)照射で人為的に作り出すこともある。八重咲にしろ斑入りにしろ、実生で繁殖させているわけではないようで、これらが遺伝的な形質なのかは不明である。
 いわゆる多肉としてのカランコエでは斑入りというとフェッシェンコイKalanchoe fedtschenkoiの斑入りである胡蝶の舞錦とその中斑タイプが有名である。少なくともカランコエの愛好家間では葉縁に則して斑が入るものをMarginata、中斑をVariegataと呼んでいる。
 その他にもベハレンシス錦(ローズリーフの斑入り)や月兎耳錦が知られ、国内では見たことがないミロティKalanchoe millotiiやセイロンベンケイソウKalanchoe pinnataにも斑入りがある。

 また不死鳥錦なんてものもあるが、これが枝変わりなのか不勉強にして知らず、しかしかなり特殊な例だと思う。
ついでに斑入り以外の枝変わりとしては、以前ベハレンシスの品種の記事で紹介した棘のないファング(Fangless Fangということになる)であるブラック・ファングがある。繰り返しになるが、葉差しによって得た不定芽からは、普通のファングに育つので枝変わりなのだと言ってよいだろう。

以上のようなものは園芸的には面白いが、コアなコレクターでもない限り追い求めるのは難しそうだ。情報も現物も収集にキリがない。自分もマニアを名乗り始めてはいるが、コレクターとしては限定的なので免責ということにしておこう。

斑入りのポエール
ポエールIMG_4356.JPG

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