深裂する葉/鹿角景天 [taxonomy]
カランコエ・シンセパラ・ディセクタという名で知られるカランコエがある。まことしやかにKalanchoe synsepala var. dissectaと学名風に書かれた名は不適格invalidで正式な学名ではない。原記載も存在しない。元々この名を使用したのはRauhの“Succulent and Xerophytic Plants of Madagascar. Vol. 1”(1995)であるが、本文や目次ではKalanchoe synsepala var. dissectaとなっているが、写真のキャプチャーではKalanchoe synsepala cv. Dissectaとなっておりいい加減である。しかし前回マダガスカル北西部高地産のシンセパラは葉が羽状深裂するという情報を書いたが、亜種もしくは変種として扱ってもよいとは思う。
(取りあえずここでは控え目に品種と呼ぶことにして、)この品種は国内では間違って「デセプタ」と呼んでいることが多いが、「裂けた」という意味のディセクタが正しい。ユーフォルビアではないのだ。この間違いはNHK出版の「サボテン・多肉植物ポケット事典」(1999)によって広められたと思われる。同書では御丁寧にもアルファベットのスペルまでdeceptaと間違えている。
(取りあえずここでは控え目に品種と呼ぶことにして、)この品種は国内では間違って「デセプタ」と呼んでいることが多いが、「裂けた」という意味のディセクタが正しい。ユーフォルビアではないのだ。この間違いはNHK出版の「サボテン・多肉植物ポケット事典」(1999)によって広められたと思われる。同書では御丁寧にもアルファベットのスペルまでdeceptaと間違えている。
家で栽培していて一片の葉が最大40cm超まで育ったことがあり、通常タイプのシンセパラより大きくなりランナーも多く生じている。これは個人の経験なので、環境や入手した株の状態で全く違った傾向になることもあり得る。こういうことは動物では結構重要で、書物や雑誌記事を見ていると限られた個体の飼育経験に基づいて得た個人的な知見を、その種の一般的な特性として記していることがある。なので私も今後のブログ記事でも意識して注意していこうと思う。
この品種のような欠刻葉タイプでもシンセパラ×ディセクタ雑種の実生ものというものがあり、普通のディセクタが白花なのに対し、こちらはピンク色の花である。また個人の経験ではこの雑種は葉差しでの不定芽が生じ易かった。(ここで言う「雑種」という言葉は、遺伝学的な意味でなく日常語として使っている。)