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子宝草目録5-無所属者の振り分け [taxonomy]

 葉縁に不定芽を生じるBryophyllumで今までの紹介から抜けているものが、まだ少しある。殆どは比較的近年になって記載されたものだ。
 先ずはマダガスカル東南部のTsivoryで発見され、2005年に記載されたKalanchoe peltigeraである。名前も盾状葉であることもKitchingia節のKalanchoe peltataとよく似る。葉の形自体はK. peltataのようだが、色彩や模様はシコロベンケイっぽい。記載論文には記述がないが、この種はセイロンベンケイソウのように切り取った葉を土の上に置いておくと不定芽を生じる。まだ一般的には知られていない性質のようだ。
 実はこの種はロゼイkalanchoe rosei、またはその変種に近縁であることが最近分かった。なのでBryophyllum節のグループとしてはSuffrutescentesということになると思う。開花後に枯れることなく翌年また咲くところもSuffrutescentesのようだが、茎や根の感じは若干異なっている。

盾状葉が特徴のKalanchoe peltigera
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Kalanchoe peltigeraの花
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これも葉縁に不定芽を生じる
peltigeraIMG_1543.JPG 


 次に紹介するのは実は葉縁不定芽を生じるかどうか分からないのだが、雰囲気的に生じそうなのがKalanchoe cymbifoliaである。この種の葉身は中葉が窪んだ舟形で、全縁に鋸歯がある。
 随分と無責任な書き方をしてしまったが、この種には大きな問題があって、実はタイプ標本がない。マダガスカル北部Ambilobé産と称する図番が精緻なので、実在するものとして1997年に記載されている。Tsimbazaza動植物公園で栽培されていた若い植物がこれではないかとしているが、結論は見えていない。
 20世紀初頭迄ならいざ知らず、20世紀の終わりにこのようなことがあるとは思わなかった。これは「有り」なのだろうか。中国産ガーパイクLepisosteus sinensisの一件を連想してしまったのは私だけだろうか。。。

 さて最後に紹介するのは某氏が見つけた下の写真の植物である。種として記載されているものには該当せず、一番詳しそうな人に問い合わせてみたところ、Kalanchoe ×houghtoniiの1形態であろうとのことだった。おそらく交配種なのであろうが、個人的な直感ではキンチョウとロゼイ種群辺りが親のように思える。マダガスカル南西部辺りで鋸歯のあるロゼイの変種群が分化しているようなところに自生しているものかもしれない。

同定不能のKalanchoe sp.
IMG_4296.JPG 

 足かけ1年半もかかって長々と続けてきた子宝草目録も今回で一旦終了である。この一連の記事は目録なので、この手の植物の網羅を目的としていて個々の植物については表面的な情報を記したのみであるが、機会を見て今後も「子宝草」のメモは続けていきたいと思う。実はここに紹介しきれなかったK. roseiの変種や人工的な交配種(自分で持っているものも含む)もあるのだが、もう少し情報が集まったら追加でまとめた紹介をしたいと思う。

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