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昔日のカランコエ事情 [others]

 私の趣味がもともと動物であったことで、和名について今までとんでもない勘違いをしていたかもしれない。動物では学名(種と亜種)と和名が主で、家畜や愛玩動物に限って品種名がある。熱帯魚などは適当に流通名があったりするが、商品名などというものはごく限られた例外しかない。例えばシーモンキーとかウーパールーパーなどである。

 ところが植物は純粋に分類学上でも学名が種・亜種・変種・品種(野生状態での品種)とあり、それぞれに和名がある(と思う)。更に栽培品種名(≒園芸品種名)、商品名が流通名として氾濫している。栽培品種は国際栽培植物命名規約に則り学名が付けられるし、各国で品種登録されたりする。しかし例えば日本の農林水産省で品種登録したからといって、学名がつくわけではないので、話は複雑だ。カランコエの栽培品種に学名を付ける場合、国際登録局があるのかないのか全く分からないが、これは遠い将来の宿題としていつか調べようと思う。

以上のような諸々の事情が今までよく分かっていなかった。特に和名と栽培品種名を完全に混同していた。もっとも事情が分かったところで、個々の種の呼び名が和名か栽培品種なのか分かるわけではない。またカランコエの栽培品種名と商品名の区別も良く分からない。もっと言うと、独特というか、特徴あるというか多肉植物の名前自体、原種であってもそれが園芸的な名称(ここでは仮に園芸名と呼ぶことにする)なのか、和名なのかよく分からない。和名であれば、以前話題にした胡蝶の舞と胡蝶の舞錦が別種であるということはやはりおかしいし、園芸名(≒流通名・カタログ上の名称等)であればそれも有り得ると思う。

 

前振りが長くなりすぎたが、最近古い(といっても4555年前程度であるが)多肉植物の本を閲覧したので、その当時どのようなカランコエが栽培されていたのかを話題にしたかったのだ。現在は殆ど見られない(私があまりあちこち出歩かないので知らないだけかもしれない)ものもあったので、今回はそれを書き留めておくだけの内容である。

 最初に見たのは1953年発行、竜胆寺 雄編著の「シャボテンと多肉植物」(誠文堂新光社)。こちらでは胡蝶の舞と錦蝶が紹介されていて、胡蝶の舞の学名はBryophyllum caryciumとなっていた。これはセイロンベンケイソウに付けられた学名で(正しくはcalycinum)、現在はシノニムとして使用されていない。胡蝶の舞はこの頃から混乱があったようだ。

 1959年の「趣味の多肉植物」(正木五郎著)は学名併記がなく、奥一氏の著書も見たが、特に目ぼしいものはなかった。最後に同名だが1969年の瀬川弥太郎監修「趣味の多肉植物」(青人社)を見た。カランコエ属は当時の京都シャボテンクラブ代表の肩書を持つ沢田富夫という方が執筆している。巻末付録の和名対照索引は松居謙次氏によるものだ。こちらでは多くの種が紹介されている。その中で、現在見られないか、殆ど見られない種を列挙してみる。本文中「渡来種についてのみ解説する」とあるから、当時は国内で見られた種が取り上げられていると思う。

 

掲載されている名前;掲載学名(注記)

・大王冠(長柄弁慶);K.velutina(少なくともこの種と同定されるものは国内で見た事がない。)

・魔海(瑞蝶);K.longiflora(今もあるのかもしれない。しかしこの学名の種で良いのか?

・初笑;K.schimperiana

・グランディフローラ;K.grandiflora(この学名の種が同定できないので一応リストアップ)

・クレナータ;K.crenata(胡蝶の舞の記事で触れた種、昔は輸入されていたのかぁ。)

・フムベルティイ;K.humbertii(現在はK.lindmaniiのシノニム、アンゴラ産)

・アロマティカ;K.aromatica

・宝寿(宝珠);K.sp. sp.では分からない。)

 

以上のようなものが、殆ど見られない種ではなかろうか。個人的にはアロマティカが欲しいところ。私はシソ科のハーブが好きなのだが、芳香のあるカランコエにはすごく惹かれる。今でも入手可能だろうか。

 

今回は写真もありませんし、何にも中身のない記事を書いてしまいました。


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