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緑の女王様 [flowers]

 デンマークのクヌート・イェプセン社(農水省の表記に従っています)と言えば、クイーン・カランコエ、クイーン・ローズ(八重咲き)といった鉢花が日本でも有名である。
 過去にはキングフラワーとか何とかいうシリーズもあったが、今はもう見られない。同様にワイルドフラワーというシリーズもあって、草丈の高い切葉(欠刻葉)のラインナップが特徴だった。国内でも一時生産されていたが、こちらも残念ながら入手する前になくなってしまった。

 花卉業界はめまぐるしい。2~3年前に出回っていた品種は永遠に失われてしまう。原種ならどんなに希少で分布が狭くとも、法的な保護や規制がない限り現地採集という入手の手段が残されている。実際には金と時間の双方がなくては不可能に近いのだが、その種そのものが失われている訳ではない。(どうせ机上論なので、紛争地帯にしかない場合とかその手の細かい付帯条件は考えない)
 しかし園芸品種となるとこの世界から消えてしまっている可能性も大きく、気に入ったものがあれば自分で栽培し続けて持っているしかない。それとて、翌年には違った姿に変化してしまうかもしれない。そんなときは諸行無常と思って諦めるしかない。

 話が大きくそれたが、昨年クヌート社に新しいシリーズが登場した。Queen Green[レジスタードトレードマーク]である。
 これには現在(世界のどこかで)4種が販売されている。最近までフミリスがサプライジング・デザートという名で出ていたが、これが日本で生産・販売されていたかは知らない。
 現在のラインナップはKalanchoe pinnata 'Zanzibar'、Kalanchoe daigremontiana、Kalanchoe tubiflora、Kalanchoe uniflora 'Phi phi'と全てブリオフィルム節だ。しかしこのうち前の3種を和名に直すとセイロンベンケイソウ、シコロベンケイ、錦蝶 (キンチョウ)である。日本では(温室の)雑草と思われているので、改めてこれらのライセンスを取って生産する会社はないだろう。非常に残念なことだ。
 錦蝶はクヌート社のHPの写真からは日本で一般的に見られるものと相違があるのかよく分からないが、シコロベンケイは一般的なものと違い、不死鳥と同一視されているがタイプの違うKalanchoe ×houghtoniiのようなタイプだ。ちなみに錦蝶の学名は現在K. delagoensisとなっているが、K. tubifloraはそのシノニムである。
 そしてセイロンベンケイソウは花の形が通常のものとは異なり、ややダブルフラワーのような萼が発達する。単純に欲しいと思ってしまうのだが、これも無理だろうか。しかしマジックベルなるセイロンベンケイソウの品種(?)が国内でも時折売られていることを考えると、僅かな望みはあるかもしれない。この品種の入手可能性について詳しい人がいたら、情報をお願いします。

 以上の葉縁に不定芽を生じる面々の入手は困難だろうが、最後のKalanchoe uniflora 'Phi phi'だけは僅かながら市場に出ている。Queen Green[レジスタードトレードマーク]はその名が示す通り、観葉植物的な扱いなのだがunifloraは花も可愛いので人気が出てもおかしくはない。私もつい花に魅かれて、高価だったにもかかわらず購入してしまった。
 要するにエンゼルランプの別品種なのだが、葉っぱだけになったときの姿も良く、我が家ではいつも厳しい家族の者にも好評だった。来年花を咲かせるのに失敗しても、何とか許されそうだ。
'Phi phi'の語源は判らないが、いちごのすいすい(誰も知らないだろうな)みたいで名前も可愛い。私も園芸店の方も「フィフィ」と呼んでいたが、タイのピピ島にちなんでいて本当は「ピピ」なのかもしれない。とするとセイロンベンケイソウの'Zanzibar'はタンザニアのザンジバル島の事だと思うし、同じクヌート社のモアフラワーズのシリーズではパリやマドリッドがあるのだから、その延長線上にあるとも言える。

おしゃれなインドア・グリーンのKalanchoe uniflora 'Phi phi'
PhiPhi01.JPG
葉はこんな感じ
PhiPhi02.JPG
unifloraなので花はやはりエンゼルランプ系
PhiPhi03.JPG


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