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ベル型カランコエ ②テッサとグラキリペス [flowers]

 前回はマンギニー系の前半部分で終わったので、今回はその続きから入ろうとしたが、先ずは言い訳から始める。今年はベル型カランコエを色々購入予定だった。ブロスフェルディアナ系の花カランコエと異なり、ベル型の入手チャンスは年に一回、冬だけである。この機を逃すと、また1年待たなくてはいけない。しかし購入チャンスがピークになる2月の週末は2回降雪に阻まれ、日曜は習い事でつぶれ、唯一2月末の暖かな週末に田園都市線方面に遠征したが、目当てのベル型は売っていないか、高価で手が出なかった。代わりに家族の者が黄色いダブルフラワーのクリスマスローズなぞ入手してしまった。
 やっと3月に埼玉県内と都内を回って、毎年のようにダメにしてしまっているウェンディとその他の品種を購入した。しかしその後もインフルエンザに付き合ってしまったり、親戚の葬式があったりで週末がことごとく忙しく、つまりはまともな写真が取れなかったのだ。長くなったが、以上が言い訳である。
ベル型はブロスフェルディアナ系と違って花の命は短い。そんなこともあって、年々生産量が落ちているので何とか今年のうちに入手したかった。だが、例年のように途中で枯らしたりしていたら、入手しても全く意味がない。今年の課題はベル型の夏越しと1年後の越冬である。

 といつものように与太話が続いたが、今回はベル型の花が咲くマンギニー系を紹介したい。
という訳で、
マンギニー系 ②テッサとその系統
 と題したが、テッサ以外に何か品種があったろうか? NHK出版の「サボテン・多肉植物ポケット図鑑」(1999)や趣味の園芸のテキスト(2000)などで写真が紹介されているアルプガーデンの「マリコ」という品種はテッサの花色を赤くしたような花が咲くようだが、情報が得られなくて元親は不明である。
 件のテッサK. 'Tessa'は、ウェンディK. 'Wendy'と共にオランダのワゲニンゲン大学でJ.J.Karper氏らが作出した品種で、マンギニーとグラキリペスKalanchoe gracilipes (グラシリペスと読む人もいる)の交配種である。我が家では野放しというか、伸びっぱなし暴れっぱなしで、何も花をつけるための方策を講じていないが、毎年細々と咲いている。このテッサとウェンディだけは、今でも季節になるとよく花屋で見かける品種である。売っているものは凄まじく花付きが良く、グラキリペスの花よりも濃いオレンジ色でなかなか美しい。マンギニーは花色は美しいが花付きはよくない、グラキリペスは花付きは良いが色はイマイチという事で、結果として良いとこ取りしたのがテッサである(Karper氏自身がそう書いている)。
 他のベル型カランコエに比べ、このテッサとミラベラは夏を問題なく越して、冬も屋外のフレームに入れておくだけで花を付ける。ベル型としては栽培しやすい品種だと思う(個人の感想です)。
テッサ P4250035.jpgテッサ IMG_8807.jpg 
ワイルドに蔓延るテッサ
 
テッサ P3110518.jpg 
花は美しい

テッサのもう一方の親、グラキリペスはわざわざ「グラキリペス系」として紹介する品種もないので、ここでついでに触れておきたい。この種はKitchengia節の代表種であり、時々「サンライズ」という名で売られている。前出の「サボテン・多肉植物ポケット図鑑」ではこれをKalanchoe gracilipesとして扱っており、私もそれを妄信しているが、実際にはサンライズが原種のグラキリペスそのものなのかどうかは知らない。
テッサに比べて花柄が細く、花色が淡い。個人的な思い込みだが、この細い花柄がたくさん枝分かれして花が付いているのを上から見ると、蜘蛛の脚のように見えない事もない。これがgracilipesつまり細い脚という学名の由来ではないかと思えてくる。と書いておきながら、最初に言い訳したように写真はないのである。花柄どころか花の写真すらない。来年まで植物が生き残って花が咲いたら、載せたいと思う。
仕方ないので、話題をそらしてテッサとグラキリペスの見分け方を書いておこう。花を見れば違いは分かるが、1年の大半は花がない状態である。共につる性というか匍匐性というか長く伸びるタイプなので、一見して良く似ている。葉を見るとグラキリペスの方が鈍鋸歯が大きく、古い葉には黒い斑が入るので区別できる。
栽培するとテッサの方が丈夫なように思える。グラキリペスは過去に2度全滅させていて、苦手意識がある。
グラキリペスIMG_8608.jpg 
グラキリペス=サンライズ(今年は花の写真なしです)
Tessa&gracilipes.png 
テッサとグラキリペスの葉の比較

ウニフローラ系
 唐突に次の「系」に移る。90年代にウェンディ、テッサと並んでメジャーなベル型カランコエにエンゼルランプというのがあった。殆ど見た事がないが、当時出版された花の本などには良く載っており、これはKalanchoe unifloraであるとされている。今年たまたま花屋で見つけ、はじめて現物を見て即購入した。これを本の写真と比べると、確かに「エンゼルランプ」らしかった。しかしそれが純粋にウニフローラかどうかは分からない。ウニフローラは着生植物で、マンギニーやグラキリペスよりふっくらしたピンク味が強い花が咲く。葉には鋸歯が見られたが、マダガスカルの個体の写真では鋸歯のないマメヅタのような葉のものが多い。Descoings(2003)の記載では鋸歯のある場合もあるらしいので、早計な判断は控えようと思う。
 購入したエンゼルランプは、花数がやたら多かったのでウニフローラの名にふさわしくない気がしたが、実際は一花だけで咲く事は殆どないようである。購入後の週末にインフルエンザに罹ってしまい、ろくに観賞しないまま花が終わってしまった。
エンゼルランプ IMG_8341.jpgエンゼルランプ IMG_8354.jpgエンゼルランプ IMG_8397.jpg  
エンゼルランプの花と葉、および全景

 困った事に、というか厄介な事に最近はテッサやその他の品種も「エンゼルランプ」として紹介しているサイトが多く、混乱を招きそうである。流通名で何と呼ぼうとも良いが、他の品種をカランコエ・ウニフローラとかKalanchoe unifloraと紹介しているのは、さすがに間違いである。


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