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子宝草目録3-② Bulbilliferae/クローン・グリーン [taxonomy]

 毎度引き合いに出しているBoiteauとAllorge-Boiteauの“Kalanchoe de Madagascar”は1995年の出版で、そのときこのグループBulbilliferaeにはシコロベンケイKalanchoe daigremontianaとキンチョウ(錦蝶)Kalanchoe delagoensis(Kalanchoe tubifloraとして記載)の2種しか記載種がなかった。その後Descoingsによって1997年にKalanchoe laetivirensとKalanchoe sanctulaが、Wardによって2006年にKalanchoe ×houghtoniiが新種記載された。


 K. laetivirensは子宝草とかクローンコエ(これはたぶん商品名だろう)と呼ばれるが、標準和名はない。マダガスカル南西部のトゥリアラToliara/ Tuléarで採集されISI(International Succulent Introductions)で記載前にKalanchoe sp.として頒布された。これが1995年で、数年のうちに各国に広まったようだ。なにしろ当時全くカランコエ素人でこんな植物の存在を知らなかった私も、埼玉の片隅にあるステーキハウスの玄関先で2000年に目撃している。
 前回も述べたようにシコロベンケイKalanchoe daigremontianaと混同され、ネット上でも間違いが氾濫している。この誤謬の一因はRauhの“Succulent and Xerophytic Plants of Madagascar. Vol. 1”(1995) でシコロベンケイの栽培品種として写真を載せていたことではないかと推察している。ベハレンシスの品種であるローズリーフの間違いもこの本のVol. 2が原因で誤謬が広まった。大著であるが、要注意である。
 大きくなると花序は少なくとも高さ1.5mを超える。花後に花序にも不定芽がつくが、開花後に親株は枯れてしまう。しかし枯れないこともあって、その点は次に紹介するKalanchoe sanctulaと同様である。


クローンコエKalanchoe laetivirensと花、および花序の不定芽
クローンコエIMG_0692.JPG
クローンコエIMG_2698.JPG
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 97年記載のもう1種、Kalanchoe sanctulaはマダガスカル南東部のTaolanaroで採集された個体を元に新種記載され、日当たりのよい赤土の斜面で見つかっている。クローンコエと共に緑色の葉が美しい種で、セイロンベンケイソウのようなクローンコエのような、特に特徴のない種である。そのためか特に話題にならないし、あまり栽培もされていないようである。


Kalanchoe sanctulaと花
sanctulaIMG_9895 (2).JPG
sanctulaIMG_2393.JPG 


 以上Bulbilliferaeのグループで4種を紹介した。もしかするとマダガスカルにはまだまだ未知の子宝草が自生しているのかもしれない。次回の子宝草目録では人工的な交配種を紹介したい。

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