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ベランダ温暖化の罠 [others]

 今年の夏は酷暑だった昨年に比して楽に感じた。しかし35℃を超える日が10日近く続いたときがあっため、我が家のカランコエはそれなりにダメージを受けた。それでも昨年のように貴重な種を完全に失わずには済んだ。
 そういうわけで冬もそれなりかと思いきや、11月から最低温度が1℃・最高9℃という1月並みの寒い日があり、12月上旬もそんな日が散発的にあったため、12月1週目から早々とベランダのフレームにビニールシートを3重に被せた。ところが12月上旬はまだ日差しが強く気温も12℃以上に上がる日があるので、重ねたビニールシートの間に不織布を挟んで日よけとした。

 このように策は講じていたものの今季の冬は9℃位の寒さから翌日一気に15℃に上がる、またはその逆といった激しさがあった。気温が上がったときはビニールのチャックを開けておいたりしてケアしていたのだが、たまたま家を空けていた12/14~15に気温が上がった上に晴天が続き、フレーム内が2日続けて高温に見まわれた。そして16日にビニールを開けたところ、惨劇の結果が待っていた。

完全死滅:シンセパラ×ディセクタ大株、ガランビトウロウソウ2株、マロモコトレンシス中株、ベハレンシス・ヌーダ数株、アルボレスケンス3株
深刻なダメージ:インテグリアフォリア、ラキニアータ、フローランティア、ヴィギエリ
比較的大きなダメージ:ラクシフローラ(産地情報株)、シンセパラ、テトラフィラ、ルベラ、コスタンティーニ、ボグネリ、テヌイフローラ

という辛いラインナップであった。
 何年か前に同じような失敗をしてその後気をつけてはいたが、出だしの寒かったこの冬に翻弄されて大きな犠牲を出してしまった。落胆すると同時に昨年と今年がこの趣味の絶頂期であったように感じた。これからは転落が始まる口火が切られたのかもしれない。そう思うと何か吹っ切れた気もした。
 これを機にコレクションに走ることなく、好きな種を育て情報を整理するなど地道な道に戻りたいと思う。好きな種が多すぎるのが曲者ではあるが。

不織布で対策してはいたがIMG_0838.JPG

結果は。。。。(以下は死滅株)
IMG_0842.JPGIMG_0855.JPGIMG_0841.JPG

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着生種と匍匐性種 [others]

 昨今インテリアプランツは大流行していると言っても良く、インテリア雑貨の店にまで植物が溢れている。最近のトレンドは吊り鉢である。リプサリスやディスキディアなど、様々な垂れ下がる植物がオシャレと見なされているようだ。これらの植物をよく見ると、大別してつる性、着生、匍匐性の植物が使われている。

 さて、カランコエのうち吊り鉢で飾られるのは主として着生植物か、匍匐性との交配種である。具体的に言うと種としてはウニフローラKalanchoe unifloraとグラキリペスKalanchoe gracilipes、交配種はテッサやシャンデリアである。
 カランコエ属にはつる性種、着生種、匍匐性種ともに知られるが、つる性種は茎が間延びしているように見えるためか、吊り鉢で楽しまれることはない。もっとも黒錦蝶Kalanchoe beauverdii以外の種が一般的でないことも大きな要因かも知れない。私の知る限りつる性植物なのは黒錦蝶K. beauverdiiとその変種、ライジンゲリKalanchoe rechingeri、ポアンカレイKalanchoe poincarei、スキゾフィラKalanchoe schizophyllaの既知の4種と最近発見されたミニアータKalanchoe miniataの変種と思しきもの、それに南アフリカのナーセリーで見つかった謎のBryophyllumを含む6種のブリオフィルム節Bryophyllumと、木本性種と認識されているリニアリフォリアKalanchoe linearifoliaである。
 リニアリフォリアは木本性ではあるが、大きくなると自立しなくなる。小さな木を栽培していると成長が遅いので分からないが、自生地では他の木にまとわりつくようにして寄りかかって成長する。

他の木に依存して自立できないリニアリフォリアKalanchoe linearifolia
linealifoliaIMG_2931.JPG

 一方着生種としてはウニフローラ、グラキリペス、ポルフィロカリクスKalanchoe porphyrocalyxの3種が知られる。またミニアータの中には大きな樹木に着生して育つ変種もある。これらの植物は樹皮や岩肌に根を張ってへばりつきながら生活しているので、立体的な匍匐性といっても良いかも知れない。一見つる性のような姿で垂れ下がるグラキリペスとウニフローラは、形態的にも性質上も吊り鉢向きの植物と言える。

吊り鉢向きのウニフローラKalanchoe uniflora
'Phi Phi' IMG_7939.JPG

 これに対し、匍匐性の種は地面をはい回っているので、見た目は着生種のようだが性質はまるで違う。何も知らないで飾っておくとそれっぽく見えるが、本来グランドカバーのように地上性の植物が吊り鉢に入って空中に浮かんでいるさまは、どうしようもない違和感と気持ち悪さを覚えて個人的には受け入れられない。といいつつもこれは全く私的な感覚なので、他の方がどう楽しもうと異を唱えるつもりは全くない。
 匍匐性種としてはカランコエ節Kalanchoeの福兎耳Kalanchoe eriophyllaと2005年に新種記載されたKalanchoe pareikianaの他、ブリオフィルム節Bryophyllumでは紅提灯Kalanchoe manginii、ヨングマンシーKalanchoe jongmansii、レブマニィKalanchoe rebmanniiがあげられる。このうち紅提灯はよく交配種の種親として使われ、テッサやミラベラ、ゼベディ等も匍匐性の特徴が表れている。

鉢から溢れて逃げ出すヨングマンシーKalanchoe jongmansii
jongmansii ssp. jongmansiiIMG_9215.JPG

 かように似たような形態の植物でも、生態や生育環境は違うので注意したい。この手の植物はなかなか魅力的なものが多いように思う。家の中でそれっぽく飾ると家族の視線から厳しさが消えるので、個人的な安堵感も覚えている。いっその事、匍匐性も吊鉢にしてしまおうかという誘惑にもかられている今日この頃である。

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