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木本性カランコエの世界 [taxonomy]

 カランコエ属には草本性の種が多いが、幹が肥大生長する木本性の種も存在する。良く知られるのはベハレンシスKalanchoe beharensisである。草本性・木本性を問わず高さ1~2mに達するカランコエはマダガスカル・アフリカ大陸共に多く知られるが、3mを超す大型種はマダガスカル産でBoiteau et Allorge-Boiteau(1995)のグループ分けでいうと全てLanigeraeに属する。 因みにアフリカ大陸産のKalanchoe mitejeaやKalanchoe hypseloleuce、マダガスカルのプロリフェラKalanchoe proliferaは草本性だが稀に3mに達することがあるという。
 さて、Lanigeraeというのは多肉のカランコエでも人気の高い月兎耳や仙女の舞が属する。取りあえず所属する種を列挙してみる。今回は亜種や変種は省き、種レベルのみ記す。

Kalanchoe orgyalis
Kalanchoe bracteata
Kalanchoe hildebrandtii
Kalanchoe grandidieri
Kalanchoe linearifolia
Kalanchoe arborescens
Kalanchoe beharensis
Kalanchoe dinklagei
Kalanchoe millotii
Kalanchoe viguieri
Kalanchoe rhombopilosa
Kalanchoe tomentosa
Kalanchoe eriophylla
この他に2005年に記載された
Kalanchoe ×flaurantia
が加わる。

 この中で樹高が3mを超すものは仙女の舞(ベハレンシス) Kalanchoe beharensisを筆頭にアルボレスケンスKalanchoe arborescens、ディンクラゲィKalanchoe dinklagei、グランディディエリKalanchoe grandidieri、ヒルデブランティKalanchoe hildebrandtiiの5種が知られる。木本性といっても日本で普通に見る樹木(杉や欅など)に比べれば、これらの種の幹はかなり柔らかくみずみずしい。以前引っ越しに伴いベランダを占拠していたカランコエを泣く泣く処分した時、2mのベハレンシス・ヌーダを伐採したのだが、堅いのは表皮だけで内側の方はかなり柔らかだった。
 流石に4~5mもある木性カランコエは通常の樹木のように固くなるのかもしれないが、現地に赴いて運よくそんな大木と巡り合わない限り確かめようがなさそうだ。もっとも幸運にも巡り合えたとして、斧を入れるわけにもいかないが...。

 Descoings(2003)によると仙女の舞(ベハレンシス)は2~3m(人工的に支えればもっと伸びるが)、グランディディエリ3m、ヒルデブランティ4m、アルボレスケンス8m、ディンクラゲィ8~10mになるという。温暖な原産地ではこのような最大サイズに育つのにどれ位の年月を要するのだろう。これらの種は自分でも育てているが、ベハレンシスを除き成長が遅いことこの上ない。ベハレンシスも草本性の種に比べれば成長が遅い方だ。

 この仲間はどれも好きなのだが、アルボレスケンスKalanchoe arborescensはカランコエの中でもとりわけ好きな種だ。もしかすると一番好きかも知れない。葉は対生でなく3枚一組の輪生である。他の木性種もだが、小さいうちは花が望めないのが残念である。自宅のものを見ていると何年たってもか細く、育ちの悪いこの木が8mに育つとは考えられないほどだ。
 もう一つ好きなのはディンクラゲィKalanchoe dinklageiでブレビセパラKalanchoe brevisepalaは本種のシノニムである。葉の形状が成長に伴って変化する。若いうちは細くて鋸歯が目立ち、成長すると鋸歯の目立たない葉となる。
 どちらの種もマダガスカル南部の産であるが、寒さには強くないので冬に室内に入れると葉がどんどん落ちて残念な姿になってしまう。これも光の問題であるが、そのことはまた別途記したい。

 成長が遅い木本性カランコエも、必要な条件が整えばもう少し良く成長するのだろう。例えば苦土石灰を入れてみるとかいろいろ試してみれば良いのに、その手の調査と実践は全く怠っていている。
なかなか実践できないのではあるが、いつの日か...。

アルボレスケンスKalanchoe arborescens
アルボレスケンスP9190398.JPG 
この種は塊根性とか言われるが、大したことはない
アルボレスケンス(根)IMG_4836.JPG 
ディンクラゲィKalanchoe dinklagei;成長したときの葉形
ディンクラゲィadult IMG_1311.JPG 
若いときの葉形
ディンクラゲィyoung IMG_3766.JPG

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ガランビトウロウソウの実生記録 [cultivation]

 マニアを目指すと言いつつ、長らくカランコエを繁殖させたことがなかった。勿論、挿し穂や不定芽により増やしてはいた。しかし全て同一クローンを増殖していたに過ぎず、有性生殖株を増やしたことがなかったのだ。正確に言うと、ロトゥンデフォリアやシンセパラがこぼれ種で増えたことはあった。ただこれらは殖えたのであって、殖やしたわけではない。
 そこで某氏からの御教示により種が豊富に結実するガランビトウロウソウKalanchoe spathulata var. garambiensisで実生してみた。以下の写真はその簡単な記録である。

2017.6.23 種蒔き
ガランビトウロウソウIMG_5623.JPG 
2017.8.9 発芽:非常に微細な双葉で、1枚の長さは1mm以下
ガランビトウロウソウ発芽IMG_5592.JPG 
2017.10.14 大きな株は双葉の1辺が10mm
ガランビトウロウソウ発芽IMG_6841.JPG 
2017.12.23  本葉も育ち始めているが室内に入れたため、丸まりつつある
ガランビトウロウソウ発芽IMG_7385.JPG 
2018.8.4 すっかり成熟した株
IMG_1219.JPG 

 小学生低学年の観察日記より手抜きで恥ずかしいが、いろいろと余裕がなく途中から殆ど放置していたこともあってこんな状況である。まともに育てるともっと早くに成熟する筈で、情けない結果である。これを機に他種でも実生を試してみたいが、余り個体数は増やせる環境ではないので自粛せざるを得ない。

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