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追悼の狂った夏 [others]

 ここ数年、毎年のように「○十年に一度の」と称する異常気象をTV等で騒ぎ立てているが、今年は本当に中国・四国地方を中心とした豪雨や、全国的な「災害級の」暑さに見舞われている。当然のことながら(41.1℃を記録した)わが県ももれなく暑い夏を過ごしている。
 何しろこの暑さは6月末頃から続いており、7月は我が家のベランダを3週間以上に渡って35℃以上の猛暑が居座り犠牲者が続出してしまった。昨年の夏は着生種を上手く夏越しさせたことを「おもいでの夏」と称して記事を書いたが、今年もまた最悪な思い出の夏となった。
 カランコエが熱帯の植物だから暑さに強いと思ったら大間違いで、砂漠の植物ではないし、日本の夏は夜も暑いので特に森林性の種(着生植物やその交配種)はダメージが大きい。今夏もまたグラキリペスは全滅、他の種も葉がかなり落ちてしまった。一定期間熱に当たるとその後涼しいところに移しても、葉は黄色くなり落ち続けることが分かった。この状態から脱するのに1ヶ月以上かかることも学べた。

 昨年も暑さでダメージを負ったペルタータは生き残った新芽を育てていたが、この夏完全に死滅してしまった。どうやらグラキリペスやペルタータといったKitchingia節の種は暑さに弱いらしい。他にもインテグリアフォリアや貴重なベルゲリ(ベルガリ)も枯れ、高地性の種も要注意と知った。
 また意外にもアフリカ大陸産のクレナータも限界まで耐えていて、突然死してしまった。僅かに生気のあったシュートを挿し穂にして根絶やしにしないのが精いっぱいだ。その他にも被害が多々あり、元気なのはキンチョウやディンクラゲィといったマダガスカル南部乾燥地に順応している種ばかりだ。

 冬に4.25ヶ月、夏に2.75ヶ月の計7ヵ月はカランコエ育成に向いていないとなると、カランコエ栽培は植物の趣味としてあまり良くないかも知れないと思い始めてしまった。

このような遮光の抵抗も虚しく
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インテグリアフォリアK. integrifoliaは形もなくなり
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ウニフローラK. unifloraは避難先でも葉が落ち続ける
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クレナータK. crenataもこのありさま
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ベハレンシスK. beharensisさえ葉が萎れて戻らない(ペチュニアは元気なのに…)
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元気なのはディンクラゲィK. dinklageiだけだ
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子宝草目録5-無所属者の振り分け [taxonomy]

 葉縁に不定芽を生じるBryophyllumで今までの紹介から抜けているものが、まだ少しある。殆どは比較的近年になって記載されたものだ。
 先ずはマダガスカル東南部のTsivoryで発見され、2005年に記載されたKalanchoe peltigeraである。名前も盾状葉であることもKitchingia節のKalanchoe peltataとよく似る。葉の形自体はK. peltataのようだが、色彩や模様はシコロベンケイっぽい。記載論文には記述がないが、この種はセイロンベンケイソウのように切り取った葉を土の上に置いておくと不定芽を生じる。まだ一般的には知られていない性質のようだ。
 実はこの種はロゼイkalanchoe rosei、またはその変種に近縁であることが最近分かった。なのでBryophyllum節のグループとしてはSuffrutescentesということになると思う。開花後に枯れることなく翌年また咲くところもSuffrutescentesのようだが、茎や根の感じは若干異なっている。

盾状葉が特徴のKalanchoe peltigera
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Kalanchoe peltigeraの花
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これも葉縁に不定芽を生じる
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 次に紹介するのは実は葉縁不定芽を生じるかどうか分からないのだが、雰囲気的に生じそうなのがKalanchoe cymbifoliaである。この種の葉身は中葉が窪んだ舟形で、全縁に鋸歯がある。
 随分と無責任な書き方をしてしまったが、この種には大きな問題があって、実はタイプ標本がない。マダガスカル北部Ambilobé産と称する図番が精緻なので、実在するものとして1997年に記載されている。Tsimbazaza動植物公園で栽培されていた若い植物がこれではないかとしているが、結論は見えていない。
 20世紀初頭迄ならいざ知らず、20世紀の終わりにこのようなことがあるとは思わなかった。これは「有り」なのだろうか。中国産ガーパイクLepisosteus sinensisの一件を連想してしまったのは私だけだろうか。。。

 さて最後に紹介するのは某氏が見つけた下の写真の植物である。種として記載されているものには該当せず、一番詳しそうな人に問い合わせてみたところ、Kalanchoe ×houghtoniiの1形態であろうとのことだった。おそらく交配種なのであろうが、個人的な直感ではキンチョウとロゼイ種群辺りが親のように思える。マダガスカル南西部辺りで鋸歯のあるロゼイの変種群が分化しているようなところに自生しているものかもしれない。

同定不能のKalanchoe sp.
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 足かけ1年半もかかって長々と続けてきた子宝草目録も今回で一旦終了である。この一連の記事は目録なので、この手の植物の網羅を目的としていて個々の植物については表面的な情報を記したのみであるが、機会を見て今後も「子宝草」のメモは続けていきたいと思う。実はここに紹介しきれなかったK. roseiの変種や人工的な交配種(自分で持っているものも含む)もあるのだが、もう少し情報が集まったら追加でまとめた紹介をしたいと思う。

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