SSブログ

テッサとグラキリペス [flowers]

 世界の多肉植物愛好家にとって国際ベンケイソウ科協会(ICN)のHPは同科の目録としてセミ・オフィシャルなものと認識されているようだ(と言ってもカランコエ愛好家にしか確認していないが)。このHPの良い所は(少なくともカランコエ属では)若干の疑義はあるものの(植物学的な)種と交配種、それに栽培品種を分けて表記しているところである。ここで栽培品種Cultivarとしてテッサ‘Tessa’が載っている。
 これは1980年代にオランダでJ.J.Karperが作出した交配種である。以前の記事でも紹介したが、花数の多いグラキリペスKalanchoe gracilipes(Kitchingia節)と花色の良いマンギニー(紅提灯)K. manginii(Bryophyllum節)のいいとこ取りした品種で、2~3月頃、花屋で時折見かけることがある。オレンジ色の下垂型の花が嫌がらせのように、これでもかと数多く咲いた姿は見事である。
 この花を見て、ICNのHPの写真を見ると全く異なるので混乱を招くだろうが、結論から言うと花屋で見る植物が本物のテッサ‘Tessa’で、ICNの写真は多分ミラベラであろう。

 個人的な経験からするとテッサの片親であるグラキリペスK. gracilipesは暑さに弱く、毎年夏越しに難儀している。もう一方の親、マンギニーK. manginiiは意外に暑さに強い。では、テッサはというと、これも暑さに強い、少なくとも弱くはない。テッサの見た目はグラキリペスに酷似しており、それ故海外ではこれをグラキリペスと誤認していることが多い(日本ではもっとひどい状況で、エンゼルランプK. unifloraと混同したりしている)。
 テッサの葉はマンギニーと異なり無毛で、形もグラキリペスに似ている。花の形も大体グラキリペスと同じで、花を解剖して心皮を見るとKitchingia節の特徴である雌蕊の分岐が見られ、これもまた同じである。マンギニーの形質は花色と暑さへの耐性ぐらいだろうか。
 なので暑さに強いグラキリペス風(またはKitchingia節風)な植物として重宝な存在である。

Kalanchoe属を3節Section(または亜属Subgenus)に分けた場合、Kalanchoe・Bryophyllum・Kitchingiaに3分されるが、このうちKitchingia節には4種が知られる。そのうち私に栽培経験があるのはグラキリペスとペルタータK. peltataのみであるが(双方とも1変種ずつ)、どちらも暑さには弱かった。春から初夏にかけて調子よく育っても、夏には当ブログで紹介してきたように悲惨な姿になってしまう。
 ということを踏まえて、Half Kitchingiaのテッサはお勧め品種である。

‘Tessa’(L)とK. gracilipes (R)の花の比較
IMG_6299+.jpg
IMG_6298+.jpg
IMG_6309+.jpg

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。