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ファリナケアとスカピゲラ [taxonomy]

表題の2種のカランコエ、見た事がおありだろうか? この両者は混同されているので、今回少し調べてみた。

ちなみにファリナケアKalanchoe farinaceaは通常ファリナセアと呼ばれている。私は動物畑からこちらに転んできたので、ラテン語のceの発音をケとした方がしっくりくる。現在は学名を英語読みする事も多いので、どちらでも良い事なのだが、カランコイ・ファリナセア(英)かカランコエ・ファリナケア(ラ)のどちらかと言われると後者を選びたくなる。でもアルボレッセンスをアルボレスケンスと呼んでいると、他の愛好家とは植物名が通じなくなるかもしれないので、両方わきまえておかねばならない。

 話を戻して、ファリナケアはたまに出回っているソコトラ島(イエメン領)原産の種で、きれいな赤い花を咲かせるので(カランコエにしては珍しく短日性ではないが、長日性なのか中性なのか不明)、花卉として扱われる事もある。

 一方、スカピゲラK. scapigeraというのは花の色が違うと言われていたのだが、現物はおろか、写真すらみたことがない。ネットで検索してもファリナケアの間違いばかりである。ベンケイソウ科に興味の深い多肉マニアはEggli編、Illustrated Handbook of Succulent Plants: Crassulaceaeを所持している方も多いのではなかろうか。この本によればファリナケアは赤花であるのに対し、スカピゲラは黄花であり、ロトゥンディフォリア(白蝶の舞)に似た種であるようだ。要するに全く別物である。大体ソコトラ島とアンゴラに点在するような不連続分布は普通あり得ないのではないか。ではなぜこれが混同されたのであろうか。

 アフリカ南部の多肉文献としてポピュラーであろうCourtSucculent Flora of Southern Africaでは、スカピゲラの花色が「brilliant red」と記されている。Courtが両者を混同したようで、これか、またはこの引用先が混乱に拍車をかけているように思う。ではCourtが何故このようなミスをしたのであろう。

 Courtの本に参考文献は載っていないが、この時代であればカランコエ属についてはRaymond-Hametのモノグラフ(19071908)を参考にするであろう。ちと古いが、言ってみればカランコエのバイブルである。というわけでそのMonographie du Genre Kalanchoeを参照するとスカピゲラのみ載っていて、分布はアンゴラとソコトラとして、記述の最後に「ファリナケアとスカピゲラの記載はポイントが全く一致する」などとある。つまりはこれが元凶だったのだ。

 では原記載はどうなっているであろうという興味が湧いて、調べてみるとBalfour(1882)のファリナケアでは「corollae flammeae」となっており、Welwitsch(1871)のスカピゲラは「Flowers bright yellow」となっていた。つまりは最初から花の色は赤と黄色で違うのだ。これをHametが見落としたのか、些細な事としたのかは分からないが、結論としてこの2種はカランコエ・バイブルの誤記載により長い事混同されていたが、実際は別物という認識を新たにしたのであった。

 

 スカピゲラは見てみたい。気になる。どこかに写真だけでもないだろうか。

 farinacea flower.jpgファリナケアの花色は赤

 

 


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